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「報われない!」と嘆きたくなった時の心理学的な解決法

どうして私は報われない?
「もう疲れました。やる気も出ません。報われないんです。」
先週に引き続き、今日も僕は心のセラピーに来ている。
ちょっと前に、大きめの仕事が一段落ついた。
めちゃくちゃしんどかったのに、結果はダメダメ。トラブルも起きていて、今も火消しに追われている。奔走しているのに、誰も苦労を認めてくれない。
「緊張の糸も切れ、努力も報われず、ハァー、もう燃え尽きたって感じです。お礼の一つもないし!もう体は無気力で、どうやって立ち直っていいのかもわかりません...。」
「"報われない症候群"ですね。」
心理セラピスト 兼 私の心理学者の師匠はいった。
「こうした心理状態を経験する人はたくさんいるんです。
子育てが終わった直後の主婦の方、受験や就職活動がうまくいかなかった方、恋人に尽くしすぎて疲れ果てた方、そういえば、不況で疲れている中小企業の社長の方もいました。」
そうか、だれもが感じうる状態なのか...。
「報われない原因」とは何か?
「どうして、報われないんだろう?何が原因だと思う?」
師匠は、単刀直入に聞いてきた。
「報われない原因?
う~ん...、努力が足りなかったからじゃないんですか?」
僕はちょっと不機嫌そうに続けた。
「まぁ、あとは環境が整ってなかったんじゃないですか?
それにオレ、不器用だし、人に好かれる感じの性格でもないから熱心な協力者もいないし、メンタルめっちゃ弱いし...」
そうしゃべりながら、我ながらひねくれた応えだとあきれたけれど、師匠の目はとても優しく穏やかだった。
「心理学的な"報われない心のしくみ"を教えよう」
心のなかで、一方的な「勝手契約書」をつくるクセをやめる
「報われないのは、心のなかで勝手な契約を作っているからだ」
師匠はいった。
「へ?ちょっと意味がわかりません」
僕は本当に意味がわからなくて、素朴な疑問として、聞き返した。
「一つ例にとろう。先ほど、君は"お礼の一つもない!"と怒っていた」
「そうですね」僕はうなずいた。
「君は、"がんばったんだから、感謝しろ!"という一方的な契約を心のなかで勝手につくって押しつけているんだ。もちろん、それを相手は知らない。それなのに、契約が守られない!とイライラ苦しんでいるんだ。報われないと叫んでいるんだ」
ギクリときた。(あんだけやってやったのに、あのナメた態度はなんだ?恩を仇で返された!) 心のなかでこのセリフを吐いた数は計り知れない。
悪魔の契約書をやぶり捨てよう
「一方的で自分勝手な契約というのは、人に対してだけ、作られるものではない。"社会"に対しても、作られる。
もっと、自分を認めろ!正当に扱え!罰するぞ!と。」
"罰するぞ!"という部分にドキッとした。
普段、僕はおだやかキャラなのに、復讐心メラメラなんてイヤだ。まるで悪魔に取り憑かれているようだ。
「まずは、一方的な勝手契約書をやぶり捨ててしまおう。そうすれば、君は契約書を見ながら報われないと嘆くこともなくなる。契約書の奴隷をやめることができるんだ。そうすれば、心が楽になるよ」
心のなかで、契約書をやぶり捨てた。
やぶった後は、なんだか開放感に身を包まれた。
"僕はなんて自分勝手な妄想を繰り広げていたんだろう"と我に返って反省した。
「与えると、受け取れる」理由
「もう心のなかで契約は作りません。
でも、それだけだと、苦しまないようにはなっても、報われはしないと思います。」
僕は率直に、感想を述べた。
「自分が欲しいものを人に与えよう。そうすれば、報われるようになるよ」
師匠はそういった。はじめはホホー、そうなのかと思った。
だけど、しばらくすると、僕はさっき言われたことと矛盾してるじゃないか!と思いはじめた。
「ちょっと待ってください。勝手に見返りを求めて、行動したらダメって言いませんでしたっけ?」
師匠は手のひらをゆっくりこちらに向けて、僕を優しく制した。
「私は、"お返しをもらえるから、与えなさい"といっているのではない」
説明はつづく。
「例えば、人を褒めようと心がけている人は、褒められると他の人よりとてもうれしがる。褒められることへの感度が上がっているんだ。どうしてかというと、褒めようと努める中で、そのうれしさ、大切さ、純粋さ、難しさ、大変さを深く理解するようになるからだ」
そういえば僕も、料理をふるまうようになってから、料理をふるまってもらうことにとても感謝がわくようになったかもしれない。そういうことか...?
「君は結婚しているよね?」
僕はうなずいた。
「幸せな家庭を作ろうとがんばりはじめてようやく、両親がしてくれたことへの感謝がわいてきたってことはない?」
「あります...。」
頭のなかに、お母ちゃんとお父ちゃんの愛がよみがえる。
「君が与え始めたから、やっと受けとれたんだ。与えることを通して、お父さんとお母さんの愛を理解し、やっと受けとれるようになった。」
ジーンと目頭が熱くなった。
そうやねん...、恥ずかしながら、自分で家庭を持つ前は、未熟でビンボーでめちゃくちゃだった両親を不満に思っててん...。大変なことってたくさんあるんだね。ごめんなさい&ありがとう。
「与えると、受け取れるというのは、そういうことだ。
愛も、お金も、尊敬も、理解も、感謝も、使命も、全部そうだ。
何かを大切にして、それを人に与えることで、その大切なもののスゴさがわかるようになっていく。だれかからそれをもらった時、スゴいものをもらった!と喜べるようになる。報われるようになる」
そうか...。そうだったのか。
「聖者のように無条件で与えようだなんて、はじめは考えなくていい。まずは、自分の"受けとる感度"を上げるためでいい。大好きなものを人に与えてはじめてみたらいいよ。そうすれば、幸福感がわいてくる。 あまり期待してはいけないけど、与えられる機会も増えるだろう。君を通して、与えることの楽しさが流通しはじめるからだ。」
「出ていく穴」と、「入ってくる穴」は同じである
セラピールームを出て、数十分前まで
「報われない!報われない!」
と大騒ぎしていたイタイ自分を思い出した。
そして重大なことに気がついた。
「僕は、欲しかったものを、だれ一人にも、与えてはいなかった」
(だからダメだったんだ!)
僕の欲しかったのは"理解"だ。
それなのに、心のトビラは、被害者意識でガッチリ閉ざされていて、自分のことにしか目がいってなかった。
相手を理解しようというところまで余裕がなかった。おハズカシイ...。
明日からは被害者意識にハマらずに、与えてみよう。がんばって理解しよう。
ふと、師匠のくれたメモを見た。
あなたには、穴がある。
愛を与える穴と、愛を受けとる穴だ。
実はその二つの穴は、同じ穴である。
与えることと、受けとることは同時に起きる。
どちらかが詰まっていたら、両方詰まる。
どちらかが開いていたら、両方開いている。
たくさんの愛を通すと、その穴は大きくなってくる。
もちろん受けとることでもその穴は大きくなるが、自分の努力で大きくしたいなら、内側の愛を外にたくさん流すのがいい。

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