「わたし(I)」という言葉を覚えるとき
お母さんのお腹から生まれ、赤ちゃんは言葉を覚え始めます。
はじめは、物を指ししめす言葉から、覚えていきます。
「リンゴ」といえば、赤くて丸いフルーツ。「ゾウ」といったら、鼻が長くて灰色の大きな動物を思いうかべられるようになっていきます。
やがて、大きくなるに従って「意味」をともなった抽象的な言葉を覚えはじめます。「お母さん」「お父さん」「好き」「嫌い」。
そして、ある段階で「わたし(I)」という言葉を覚えるのです。
「わたし(I)」という言葉を覚えると、「わたしの(my)」、「わたしのもの(mine)」という抽象語を覚えます。
「わたしの(my)」という言葉を覚えると、あることに目覚める
言葉は、考えるための「道具」になります。
道具は可能性を広げてくれ、また可能性を制限します。
あなたは、はじめて"おもちゃ"を買ってもらった時の事を覚えていますか?それは、積み木かもしれませんし、お人形さんからもしれませんし、ロボットかもしれません。
「わたしの(my)」という言葉を知らなかった時は、おもちゃを貰っても、それは、ただそこにある楽しいおもちゃでしかないのです。
しかし、「わたしの(my)」という言葉を覚えると状況は一変します。
「わたしの(my)」おもちゃが増えると、嬉しい。
「わたしの(my)」おもちゃが壊れると、つらい。大泣きしてしまう。
「意味」があなたに影響するようになるのです。
「わたしの(my)」という意味をおぼえた瞬間から、外部のものを自分の一部だと思ってしまうこと「自己同一化」を始まっているのです。
それも気がつかないうちに。
これがこの先の人生であなたを苦悶させる「エゴ」の始まりです。
自分ではないものを、自分の一部だと思うとどうなるか?
小学校にあがれば、「わたしの(my)」成績、「わたしの(my)」運動神経、「わたしの(my)」かわいさに、自分を同一化しはじめます。そして、それを他者と比べて一喜一憂する。
その後は、さらに「外にある大きなものと自分を同一化して、自分の価値を上げよう」というエゴの欲望の渦に飲み込まれていくのです。
テレビをみて、芸能人や成功者と自分を同一化しようとします。
ブランドものを買って、その価値に自分を同一化しようとします。
本を読んで、知識と自分を同一化しようとします。
外から自意識を強化しようとしているのです。
「わたしの(my)」年収、「わたしの(my)」会社、「わたしの(my)」成功、「わたしの(my)」才能、「わたしの(my)」家庭、「わたしの(my)」美しさ、「わたしの(my)」住んでいる家。「わたしの(my)」未来、「わたしの(my)」過去。
あなたも思い当たる節はありませんか?
外部のものは、自分とは別々だ。
あらゆる「外部のもの」が、同一化・比較化の対象となり、それを一喜一憂するための牢獄のような人生がはじまります。あの人はこうだけど、わたしはこうだ。私の方が劣っている。私の方が優っている。
しかし、究極的には、自分と「外部のもの」は、全く別の存在。
冷静に考えればわかりますが、ひとつになる事など、ありえないのです。
ここに断言します。
あなたの欲しがる「外部のもの」とあなたとの同一化は、絶対に起きない。
法律や制度の上で、「わたしのもの(mine)」になることはあるかもしれないが、本質的に、心の深い部分で、それはあなたではない。
エゴイストをやめるには?
あなたは幼稚園に入る前から、無意識のエゴイストなのです。
けして満たされない欲望のブラックホールを抱えているのです。
欲を満たそうとするのは、間接的な対処療法であって、直接的な予防や解決法ではありません。
「欲を捨てろ」というのは、こういう意味です。
積極的に生きるなという意味ではなく、エゴのために自分を酷使するな、ということです。
まずはたった今から、エゴを観察してみましょう。
意識を鋭敏にして、自分を常に内観しましょう。
そして、エゴの思考が動き始めたら、それを中断する3つのクセをつけましょう
1.恐怖や心の動揺が湧いてきたら、それに注目する
日常生活を過ごしていると、恐怖や心の動揺が起きることがあります。
普段であれば、それを抑えつけたり、反応してしまったりするところですが、今からは違う方法を取りましょう。
恐怖や心の動揺が起きたら、"「わたしの(my)」何が脅かされているのか"を直視してみましょう。どんな同一化やどんな定義付けに自分は怯えているのか。
「わたしの(my)」プライド?「わたしの(my)」立場?「わたしの(my)」評価?
はじめはリアルタイムでこれをやるのが難しいかもしれせん。しかし、落ち着いたら、ひとりになれる場所に行って、目をとじて思い返してみましょう。
そしてはっきりと「エゴの仕組み」によって、この恐怖が起きていたんだな、と認識しましょう。
そういう意味では、恐怖は幸せになるチャンスです。
恐怖がわいたら、「また一つエゴを解放できる!ラッキー」と思いましょう。
2.未来や過去について、勝手に頭が動いていたら、それに注目する
未来をどうしかしようと思ったり、憂いたりしているときは、「今、"私のもの(mine)"が足りない!」と思っている証拠です。
つまり、エゴの仕組みに頭が支配されています。
また、過去を後悔したり、恨めしく思っているときは、「昔、"私のもの(mine)"が足りなかった!」と思っている証拠です。
これもまた、エゴの仕組みに頭が支配されています。
「将来、"私のもの(mine)"が足りなくなる!」と恐れる場合もあるかもしれません。
外部との同一化をやめて、あなたが「今ここに在る」ことを感じましょう。未来や過去に「"私のもの(mine)"」を求めるエゴの仕組み気がつきましょう。
今、この無常なる一瞬と仲良くするのです。
今は過去ではないし、未来も今ではない。
針のような「今の一瞬」が連続しているだけです。
未来や過去を考えて、満たされない同一化の苦しさを味わったら、「今しかない」と気がつきましょう。
これもまた、あなたが幸せになるチャンスです。
3.他人の嫌な部分が目についたら、それに注目する
自分の同一化を強化するためには、他者と自分を比較する必要がでてきます。
エゴが強くなれば強くなるほど、「自分は人と違う」という他者性を抱くようになり、それがやがて敵対心に発展していくのです。
このように、他人の嫌な部分が目につくのは、エゴによって敵対心が増しているからであり、また、自分の中のエゴの持っている敵対心を相手の中に、感じ取ってしまうからです。
心理学的には、この他人の中にある自分の嫌な部分をシャドーと呼びます。
シャドーを発見したら、自分の中のエゴを観察しましょう。
「アイツと私はこんなに違って、私はこんなに素晴らしい。私の中にアイツのような汚い部分があるわけない!」という抵抗が起き、敵対心を正当化しますが、それはエゴのもたらす"他者性"もしくは"敵対心"ゆえに起きていることです。
エゴと距離をとって、エゴを眺めましょう。「抵抗しているな。どうしてだ?いったい、"わたし(I)"の何が脅かされていると思っているんだ。」と観察しましょう。
そうすれば、単なる「わたしの(my)」の幻想が起こしていることだと気がつけるはずです。
みんなエゴの同じ被害者です。敵ではなく、あなたと同じ幻に惑わされている仲間なのです。手をさしのべるまで行かなくても、どうか、エゴを捨てて見守ってあげましょう。
エゴという隣人を追っ払おう
あなたがワンルームマンションに、友人と二人で住んでいるとします。
その友人は、四六時中、ひっきりなしにあなたに話しかけてくるのです。
「これはダメだ」
「このままじゃとんでもないことになるぞ」
「あいつはクソ野郎だ」
「もう疲れた。死んだ方がマシだ」
「また、私のものがうばわれるぞ!」
こんなことをずっと、隣で言われていたら、頭が狂っておかしくなってしまいます。何が正しくて、何が間違っているのか、冷静に判断することなどできません。
しかし、現実はこれがあなたの頭の中で起こっていることなのです。
あなたの頭には、エゴと言う隣人が住み、あなたが感じる暇もないほどに、毎日毎晩、ああだこうだと、あなたの恐怖を刺激してくるのです!
そして恐ろしいことに、あなたはエゴと同一化している。
たった今から、それを切り離しましょう。
気がつくことがすべての始まります。
それは今からでき、今からあなたは幸せになれるのです。
This article is INSPIRED by
ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる by エックハルト・トール
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